私のピアノ調律日記 (10月)


パイプオルガン               2001/10/26


先日、パイプオルガンをさわってきました。
四日市市にある第一楽器四日市店には、237席のクラシック専用ホールがあります。
縦に細長く、天井も高い、ヨーロッパの教会を思わせる(らしい^ ^;; そのように作ったとか、)なかなか良いホールです。
ステージもそんなに広くないのですが、そのステージの真ん中に、数年前になりますか、パイプオルガンが入りました。
じつは11月23日(金・祝)、このホールで、合唱団「うたおに」のコンサートがあります。
その時にこのパイプオルガンも使用するものですから、下見のために、指揮者・団内オルガニストと共に、見せてもらったわけです。

パイプオルガンをじっくり触れるなんて機会は滅多にありませんし、興味津々でした。

技術的なオルガンの仕様はちょっとわかりません。
写真を撮ってきましたので、それを見ていただいて、だいたいの規模をご想像ください。m(_ _)m

        

このオルガンは、当然の事ながら、電気でファンを回し、その風でパイプに空気を送り込み、音を出します。
そのため、いわゆる電子楽器のオルガンのように、ボリューム調整なんかは、ついてません。
音が出るか出ないか、その二つしかありません。
オルガンの音色を変えるストップは、上鍵盤と足鍵盤にそれぞれ3つ、下鍵盤には4つ付いています。
ひとつの鍵盤でオクターブや、オクターブ5度が同時に出たりします。
このストップによりそれを調整します。
ボリュームの調整を、と言えば、せいぜいこのストップで、音色と、それに伴う音量を調整する程度になります。

正直な感想を言いますと、そのオルガンを見た感じから受けるものものしい装いに比べて、出てくる音は「普通の」音です(^ ^;)。
もっとドラマチックな音を予想してたのですけど、なんかちょっと拍子抜け、みたいな感じでした。
ただ、1時間ほどこのオルガンをさわっていて感じたことは、やはり生の楽器らしく、耳が全然疲れないのですよね。
なんかとても柔らかい感じ。 無理をしてない、という感じがします。
パイプオルガンというのは、きっとそのオルガンが入っている建物とのマッチングによって、いい音を作っていくのでしょうね。
大きなパイプオルガンは、そのホールにあった設計をして制作するそうですから、やはりオルガンの性能は、その建物の響きとかを抜きには、考えられないのでしょう。
このオルガンもこのホールに合わせて選ばれたのだと思いますが、ちょっとホールの大きさに比べて、オルガンが大きすぎるかな、と感じました。

実際、コンサートの時には、ストップはほとんど一つのみ開けて使用することになりそうです。
二つ、三つ使用すると、オルガンのボリュームに合唱の声がかき消されそうだからです。
それでもやはり、生の楽器らしい、柔らかな雰囲気を当日は充分感じさせてくれることと期待しています(^ ^)。

さて、パイプオルガンを使用するには、まず、電源を入れます。
これは鍵をオルガンのキー穴に差し込んで、車のエンジンをかける要領(笑)で右にひねります。
すぐに鍵盤を押さえても、しばらくは音が出ません。
きっと空気タンク(?)の中に空気がいっぱい入るのに時間がかかるのでしょう。
10秒ほど待って、ようやく音が出始めます。

そこで、電源を切るときに、試しに鍵盤を押さえたまま電源を切ってみました。
やはりしばらくは音が鳴り続けておりましたが、やがて、音 のピッチが下がりだし、次第にいろんな音に変化が始まり、それが次から次へと、いろんな音が出てくるのですよ(^ ^)。
もちろん音はだんだん弱々しくなっていくのですが、なんか現代音楽を聴いてるみたいで(^ ^;)、それがかれこれ1分くらいも続いたかもしれません。
ええ、充分楽しませていただきました(^ ^)。 ドラマチックだったです。

なんか、調律師のレポートじゃないですよね(^ ^;)。
申し訳ありません、こんなのしか書けなくって・・・。m(_ _)m

では、せっかくですので、ちょっと調律のことにも触れてみたいと思います。
オルガンの調律は、そのホールによって平均率だったり、古典調律だったり、調律方法が違います。
それで、ここのオルガンですが、ちょっと聴いたところ古典調律のような感じもしたのですが、どうも、平均率がただ狂ってきてたようです。
オルガンはけっこう音が狂いやすいものですから。
オルガンの調律は、結構大変で、まず、その時の気温が非常に重要です。
と言うのも、(パイプ)オルガンの音程はパイプの長さによって変化するわけですが、それ以外の重要なファクターに、気温があるわけです。
つまり、空気の温度が変わると、空気の密度も変わり、それによって音程は変化するわけです。
気温が2度も違うと、a=440hzのピッチが1hzくらい違った、と記憶しております。(もし数値が違ってたらごめんなさい。大きくは違ってないはずです。)
ですから、気温を一定にしておいてから調律にかかります。
調律はパイプの長さをのばしたり縮めたりするわけです。
とても根気のいる作業で、大きなホールの調律なんかは、1ヶ月くらいかかる、と聞いたことがあります。
ただ、オルガンはピアノと違って、調律の狂いによる和音のうなりがあまり目立たないのですね。
だから、きれいな和音に聞こえる、のでしょうか。

まあ、初めてじっくりさわることができたパイプオルガンでしたので、その感動(?)を少しでも伝えられれば、と思い、思いつくまま書いてみました。
お楽しみ頂けましたでしょうか?



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